2012年6月23日土曜日

覚書

先日帰国されたボランティアでとても印象深い活動をされていた方がいます。多くのことを考えさせられたので、覚書としてここに記します。

彼女はHIVキャリアの女性を主に対象にしてビーズクラフトを指導し商品を国内外で販売されていました。商品のクオリティも高く、販売先もウガンダ国内、海外多岐にわたり、日本ではISSEI MIYAKEで商品を販売されるなど大きな成果を挙げておられます。外へ向けた成果も大きいのですが、作り手へ与えたインパクトも非常に大きいです。
彼女の配属先のメンバーのコメントを得たので、一部紹介します。
(*原文と訳)

Scora is a 36 years old widow. She has 6 children aged between 9-20 years. She lost her husband in 2005 to HIV AIDS and was therefore left to single-handedly take care of the family. She currently takes ARV drugs daily as she too is suffering from HIV.
Before she joined the cooperative, Scora relied on farming to generate income to fend for the family but with time her health dwindled since a lot of physical energy was needed to do that kind of work. It is majorly because of that reason that she decided to join the cooperative.
She not only uses less efforts to do this kind of work (hand crafts) but she also generates much more income, enough to send her children to school, provide basic needs to her family and also to hire workers to tend to her gardens.   
Her health has gradually improved since she can afford to buy good-quality medicine, feed on a healthy diet and she, like many others gets moral and  advisory support from fellow members. She is very grateful for the positive impact the project has made in her life and for that wishes blessing to everyone.  

Scoraは36歳の未亡人です。6人の子供がおり長男は20歳、末っ子は9歳。
2005年にHIV/AIDSにより夫を失ったことで、彼女が家族を女手一人で育てる事になりました。現在彼女は日常的にARV医薬を飲んでいることから分かるように彼女もHIVで苦しんでいます。
Cooperativeに参加する前は家族を養うための収入として農業に頼っていました。しかし農業をするのにかなりの肉体的労働力を消耗し、時が経つにつれ彼女の体調が衰弱してしまいました。それがCooperativeに参加した主な理由です。
彼女はハンドクラフトだけに労力を費やすばかりでなく、より多くの収入を創出して、子供を学校に行かせたり家族が必要とする基本的なものを揃えたり、自分の畑の手入れをする労働者を雇う事までしています。
良質な薬を買えるようになったり健康的な食事をとれるようになってから彼女の体調は徐々に改善されてきました。彼女はビーズプロジェクトが彼女の人生に与えたプラスのインパクトを大変感謝しています。また全ての人にご加護がある様にと願っています。
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またメンバーの別の女性にプログラム参加への苦労について質問をし回答を得ています。

Q:職場から自宅までは遠いようですが、やめたいと思った事はありますか?

A:朝5:30に起きて、センターには11時に到着します。センターまで来るのに5時間かかりますが、私には快適です。なぜなら私には他の選択肢が無いからです。
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上記のコメントを読む機会があり、サポートを切実に必要としている人がいることに新鮮な気持ちになりました。そして支援は人や環境に応じて必要とされることが違うということに思い当たりました。

クラフトによる収入向上というのは、途上国支援の常套手段です。ただわたしが関わっているメンバーを見ていて、彼ら、彼女たちは本当にお金を必要としているのか?という疑問をもつことが度々あります。もちろん、あるに越した事はないのですが、それが彼らの根本的な問題を解決するのかということです。ウガンダにおいては、食べることに困らない肥沃な土地があり、気候も温暖、生きるための条件が保障されています。そんな中で、お金を稼ぎたいといったとき豊かさは概念的で、彼ら自身にもイメージできていないのではないかと思うことがあります。そんなイメージでは、働くモチベーションには繋がらないし、チャンスがあっても熱心に働くことがないのはそのせいかもしれません。

日本人から見れば、ウガンダは経済的な面において大半の人が貧困層で、様々な状況下に置かれた人たちが暮らしています。シングルマザー(ウガンダでは核家族よりもこっちが多いと思う。印象ですが。)、子供が重い障害をもっていて家を離れることが出来ない人しかもシングルマザー、パートナーが働かず子沢山で家計をやりくりできない人、孤児、難民(キャンプ内に住んでいる人だけでもない)例を挙げればキリがないです。彼らは限られた特別な人たちではありません。周囲を見渡せば、いくらでもいます。日本にもきっといろいろな立場の人が暮らしているはずです。ただそんな状況下で暮らしていて、彼らのように伸び伸び生活できるのかと考えるときがあります。ウガンダの人たちがあまりにも伸び伸び暮らしているので、援助なんておせっかいなんじゃない?と感じることもしばしばあります。

日本や他の発展途上国と比較して貧しさを判断するのではなく、別の視点で見る必要があるのではないか。目指すべきところは、発展途上国ではなく彼ら自身が気づくべき、ウガンダにおける幸せを考えることではないでしょうか。お金持ちになるということも含めて。

シルククラフトを活動の軸に据えてスタートしたのは彼らの要望というよりは自分自身のためだったように思います。自分自身の活動の成果を求めるためにお金を稼げる手段を提供し、人を集めて商売をスタートしたところがあります。自分の仕事に忠実なだけであって、相手を見て仕事をしているのか?その点がひっかかっていました。残った時間をもっと相手に目を向けたものにしなければいけないと感じ始めています。

長くなりましたが最後にカワンダでの進展をお知らせ。
カワンダでクラフトを制作するメンバーが、KASICAという組合を立ち上げました。正式名称は、Kawanda Silk Craft Associationです。
こうして組合が立ち上がった事は、彼ら自身が自分たちでマネージメントを行おうという意思の表れだと解釈しています。この芽が、じっくりと育っていくように独りよがりではない関わりをしていきたいです。
第2回ミーティング

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